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毎年30万人もの移民が、メキシコの南の国境を越え、この国を通って北のアメリカ合衆国を目指すのだそうだ。
しかしそれは、「世界で最も危険な旅」と言われる。
どれほど危険な旅なのか、それがこの物語に描かれている。
これはフィクションだが、嘘ではない。
なぜなら本書は、作者のディルク・ラインハルトが現地取材して書き下ろしたものだからである。
彼らの殆どが、目的地アメリカ合衆国ににたどり着くことは出来ない。
不法移民である彼らは、追いはらわれたり、暴力を振るわれたり、追いはぎに遭ったり、列車にひかれたり(当局の目を盗み、走っている列車に飛び乗ったり飛び降りたりするため)、数々の災難を覚悟せねばならず、その多くが、夢の地にたどり着く前に命を落とす。
失敗しても、何度も何度も繰り返すという。
なぜ彼らはそんな危険を冒してまで、北を目指すのか?
彼らはグアテマラ、ホンジュラス、エル・サルバドル、ニカラグアといった世界で最も貧しいとされる国の出身。
これらの国では、ほんの一握りの地主や起業家や政治家・軍人が富を独占していて、国民の大多数は貧困に苦しんでいる。
職がない。子ども達は家計を支えるために働かなければならず、学校に行けない。
しかし、職がない・・・・
だから多くの人が国を出て、世界で最も豊かな国アメリカ合衆国を目指す。
合衆国に行けば、十分なお金がすぐに稼げ、また故郷に苦労のない生活が送れると信じて。
家を建て、子ども達を学校にやれると本気で信じて。
まずは父親が合衆国を目指す。
しかし、父親の消息が絶えてしまうと、今度は家計を支えきれなくなった母親が合衆国を目指す。
彼女たちは家政婦やベビーシッターとして重宝される。
働き者で従順な彼女たちは、不法移民であるが故、自分たちの権利を主張しない。
よって、うまく使われてしまい、これまた計画通りにお金は貯まらない。
置いてけぼりにされた子ども達はある程度成長すると、母親を探して旅に出る。
この物語は、まさにそうした子ども達の危険な旅を、詳細に描いたものである。
この本は、ドイツ最古の児童文学賞であるフリードリヒ・ゲルシュテッカー賞を受賞している。
これは、異文化への理解と慣用を促す本に、二年に一度だけ与えれる賞とのこと。
また、舞台になっているメキシコでも、メキシコについての描写が妥当なものとみなされ、出版されている。
かなり長い本で、読むのに大分時間が掛かったが、中学生以上、もちろん大人にも是非読んで欲しい。
さて、アメリカがイスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転したことで、現地では激しい衝突が起きている。
世の中は様々な人間が、様々な考えと風習の元で暮らしている。
互いに相手を認めることから始めなければ、何も先へ進むはずがない。
まずは相手を、事実を知る事から始めよう。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
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