障害者の戦争☆「太一さんの戦争」

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昨日の続きです。
さて、戦時中も、そしてその前からも障害を持つ人々は居たわけです。
そして戦前は障害を持つ人たちを守る法律なんてありませんでした。
障害を持つ方は、どういう戦争体験をしてきたのでしょう?
その事について、教諭だった丘さんは、ここからは高校の歴史の授業みたいになりますが・・・とお話くださいました。
いよいよ本土決戦か!?という戦争末期、子ども達は、国策として次世代の戦力確保の為に集団学童疎開をさせられました。
しかし、戦力にならぬ、亡くなってもよいと考えられていた障害を持つ子ども達は、学童疎開の対象外でした。
1932年(昭和7年)東京市に全国で唯一の肢体不自由児学校として設立された光明学校。
松本校長先生が学童疎開を直接当局に掛け合うものの、相手にされる事はありませんでした。
疎開先を自ら探してくるならば、疎開してもよいということになり、校長は長野県上山田村の村長に熱心に掛け合い、やっとの事疎開先を確保する事が出来たのです。
しかし、戦争が終わっても、光明学校の子ども達が親元に戻って来たのは、健常な子達から遅れる事4年が経っての事でした。
「戦争などの有事の際には障害者は真っ先に切り捨てられる」
世の中の空気が変わった時に真っ先に切り捨てられるのは障害者だ、平和じゃないと生きられないということを、先鋭的に肌身に感じているのが他ならぬ障害者たち自身だと、自身も視覚障害があり、日本障害者協議会の代表を務める藤井克徳さんは仰っています。
戦争中、障害のため、徴兵検査で不合格になり兵隊になって国のために戦えなかった障害者。「穀潰し」呼ばわりされることもあったそうです。
そうした負い目や軍国教育の影響もあり、国のために戦いたいと考えた障害者もいました。なんとか国の役に立ちたいと。
それが語られるこの本↓
(以下、あらすじです)
子どもの時の病気がもとで、知恵が少し遅れていた太一さん。
勉強も運動も苦手。
村では「ばかの太一」と呼ばれていました。
しかし身体は丈夫で村一番の力持ち。
村の人たちは影でこう言っていました。
「太一の力はばか力 お国の為には なりゃしない」
そういわれてもニコニコしている太一さん。
しかしお母さんは悔しくて、悔しくて・・・いつか太一がお国の役に立つときがやってくる。
村の若者は兵隊になって次々と村を出て行きました。
旗を振って見送る村人たち。
若者達はひるむ心を隠して、誇らしげに戦場へ出掛けて行きました。
やがて村には太一さんを除いて男の若者は一人も居なくなってしまいました。
暫く経つと、一人二人と若者たちは骨になって帰って来ました。
戦死した若者の家の門口には、「英霊の家」と言う札が貼られました。
お母さんはそれを見ると、足を止め、深々と頭を下げて、戦争に行けない太一さんの事を思うと、ひどく肩身の狭い思いになるのでした。
ラジオや新聞はいつも「勝った勝った」というのですが、アメリカの飛行機が頻繁に姿を現すようになりました。
本当に勝っているのだろうか・・・
戦争が始まって4年目。
とうとう太一さんの所にも赤紙が届きました。
いよいよお国のために働くときが来たのです。
深々と頭を下げ、お礼をいうお母さん。
やっと他の青年達と同じになったとホッとしたのでした。
太一さんは横須賀の海兵団で厳しい訓練を受ける事になりました。
初日から失敗ばかりに太一さんに、上官は辛く当たります。
苦しい日々を歯を食いしばって頑張っていた太一さん。
しかし・・・・
戦争中の障害者に対する差別・抑圧の歴史は、日本だけではありません。
ユダヤ人を大量虐殺したナチス政権下のドイツで、ドイツ人を含む20万人以上の障害者らが強制断種させられたり、「ガス室」に入れられ殺害されたりしました。
医学界は精神障害者らを殺害することは、優生思想から正しいことと考え、積極的に殺戮していました。
そして、これをナチスが利用したのです。
丘さんは、相模原やまゆり園事件の容疑者の考え方は、ナチスと同じであると仰っていました。
今健常である人も、いつかは障害者になる。
誰かに介助してもらわなければならない存在になる。
そこの想像力が欠如している。
昔は、この部屋で赤ちゃんが生まれ、この部屋で年寄りが亡くなるという現実に中に暮らしていた。
核家族の中では、死と生が隣り合わせであることを実感できない。
そこで丘さんは、幼稚園や老人ホームを同じ所に、人の居る所に作るべきだと提案されていました。
また、今別にある養護学校は普通学級で一緒に!が、互いの理解の深まる一番いい形だとも仰っていました。
偏見や差別や無知は、時間の共有によって無くなるはず。
書物を読むことで知るのではない。
見て聞いて、つきあう体験こそ大切だと。
丘さん修三さんは「子どもの本・九条の会」の発起人のお一人です。
今回この本も購入。
最初は笑えましたけど、読めば読むほど腹が立ってきます。
今人舎 「8.15朗読・収録プロジェクト」

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
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