『頑張る!』は美しい☆「びりっかすの神さま」
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小学4年生以上向け
お父さんが急死し、お母さんの勤め先のあるこの町に引越してきた、木下 始、小学4年生。
そのお父さんが、死ぬ前に始に言った言葉が「がんばれ」だった。
「たしかにお父さんは、お父さんのやりかたでがんばったんだと思う。
でも、お母さんの気持ちをいっとくわ。
もしもがんばるっていうことが、お父さんみたいに生きるってことだったら、
・・・ひとに勝つことが、がんばるってことだったら、始、お母さんはあなたに、がんばってほしくなんかないのよ」
銀行員のような担任の先生について入った教室。
先生に促されて一言挨拶する為に一歩前に出たとき、とんでもない物が見えた。
目の前、1m程の所に、出し抜けに透き通った男が現れた。
20cm位の大きさの男は、くたびれた背広とよれよれのネクタイで、背中には小さな翼があった。
始と目が合った途端、男は消えてしまった。
始の席は教室の一番後ろ、一番廊下側の席だった。
席についた途端、さっきの男が見えた。
誰もその男を見ない。
なぜ自分には見える?
まぼろし?病気?
病気から死と言う言葉が浮かんだ。
死神?
三度目に見えたのは、先生が算数のテストを返した時だった。
どうやら得点の高かったものから返しているらしい。
「坂井征二、0点」
征二の頭の上をあの男がふわふわ飛んでいる。
算数の時間のお終いにテストがあった。
テストが終わろうとしている時、あの男は隣の席のみゆきのテストの上に降り立つ所だった。
次の日、一時間目の算数の時、先生は昨日のテストを返した。
点数が下がるにつれ、段々と席が後ろになっている事に気が付いた。
すると、この席は、一番成績の悪いものの席に違いなかった。
何故ぼくがこんな席に!?
「木下始、2点。」
「森みゆき、1点。」
最低点を取ったのはみゆきだった。
そしてみゆきがテストを受け取った時、あいつが現れた。
みゆきの頭の周りをぱたぱた飛んでいる。
始は気が付いた。
最低点をとったものの所に、あいつはやって来るのだ。
いや、昨日のテストの時、もうみゆきの机に居た。
最低点を取るのがみゆきだと分かっていたのだ。
始はあの男を呼び寄せる事にした。
簡単な事だ。
0点を取ればいい。
名前だけ書いて、あの男が現れるのを待った。
あの男は透き通っていなかった。
その日から、始はその男と心の会話が出来るようになった。
男が生まれたのは、3年生の二学期の半ば頃。
市田先生は何でもかんでも競争させる。
給食だって遅いといい顔しない。
競争して順位をつけると、当然最下位のものが出来る。
男は最下位の子の周りを漂ってた。
出来の悪かった子の気分っていうか、感じっていうか、そういうものが寄り集まって自分は生まれたのかもしれないと、男は言った。
そして、男の体が出来たのは4年生の6月1日。
先生がテストの合計点で、席を決める事にした日。
最後の子が呼ばれた時、男に目が出来た。
体が出来たのは、そのすぐ後の休み時間だった。
坂本浩一って子が机の間を通ろうとして、森みゆきが邪魔になった。
浩一はわざと大きな声で、「道をあけろよ、びりっかす」って言った。
教室にいた半分は笑った。
その途端、男に体が出来上がった。
だから自分の名前はきっと『びりっかす』だと男は言った。
結局始は、この男ともっと話をしたくて、びりを取り続ける事になった。
*****
一番になるのは簡単なことじゃない。
でも、びりになるのは簡単!?
いやいや、それも、簡単じゃないはず。
だって、それによって湧いてくるくやしさ、恥ずかしさなど・・・負の気持ちを背負い込むのはキツイもの。
それも、順番付けられて、席順まで決められちゃったら・・・・ほんと、辛すぎる。
市田先生は最低最悪な先生だ。
そもそも前の学校で成績の良かった始。
走るのだって一番だった。
でも、頑張る事より選んだのは『びりっかす』との会話。
転校してきて、このクラスの雰囲気に馴染めなかった始には、友だちが出来なかった。
それが、『びりっかす』と友達になりたかった理由だったのかも・・・
ある日、手を抜いてわざとびりを取っている事がみゆきにバレテしまい、
みゆきをひどく傷つけた。
そしてその理由を明かしたわけだが・・・
みゆきにも『びりっかす』の姿が見えたことで、心の会話が出来るようになった。
みゆきに心の会話でテストの解き方を、答えを教えるようになると、みゆきの点数は上がっていった。
やがてクラスの半数が、そして全員がテストで最低点を取り、全員がびりっかすと会話出来るようになった。
*****
「がんばれ」と言い残して死んだ父親。
「お父さんのようにがんばってほしくない」という母親。
どちらも素直な親の気持ち・・・だよなあ。
だけど、運動会のクラス対抗リレーで、アンカーで一位ゴールした始に、始の母親は言った。
「あなたの足のはやいのは知っていたけれど、一番になったとき、感動しちゃった。
ほんとうによくがんばったわ。
一番になるために、がんばるな、なんてお母さんいったけど、ほんとうにうれしかったわ。」
夏休みの初めから走り始めたそうた。
スイミングの選手コースで、上のクラスに上がるまで、毎朝(土日以外)走る事を自分に課した。
二学期が始まった今でも、朝起きると一人走りに行く。
その成果か?
運動会のリレーでは、昨年までの走りと大違い。
一位だけど僅差で受け取ったバトンを、後ろの子をどんどん引き離し、大差を付けて次の走者に引き継いだ・・・結果的にチームは二位だったけどね(^^;)
たいちも、夏休み中には頑張ったので(^^;)、リレーでも持ち前の身体能力を生かして一位を死守。
二人とも運動会で格好良かった(^^)
・・・が、水泳ではまだその成果は現れず。
まあ、少しは走った甲斐があったはずなんだけど・・・
昨日の大会ではまたもや反省↓のそうた君(><)
大会を見に行く車の中で、パパが言った。
「夏休み早々に、たいちの朝顔は花が咲かなくなって、種ばかりになってただろ?
でも、休みが終わる頃になって、幾つも花が咲いたよな?あれは水をあげ続けたからだよな。
やっぱ、子どもたちにも諦めずに水をあげ続けろって事なんだよな。」
ほおーっ、確かに!
夏休みに持ち帰ったたいちの朝顔は、えっ、もう開花期が終わっちゃったの?
てな感じで、種ばかりいっぱい取れた。
それでも蔓はまだ元気だからと、毎日毎日水をあげていたたいち。
すると、夏休み終了一週間前位から、毎朝2~3の美しい薄青の花を魅せてくれたのだ。
水をあげる事・・・親としてはそれ位しか出来ないのかもしれない。
自分で頑張る事が出来るようになって、更にそこからも、花を咲かせるには時間が掛かる。
もしかしたら、咲かないかもしれないけれど・・・
いつか咲くかも!咲くに違いない!!!と水をあげ続けることが大事だね、きっと。
しかし、私があげているのは冷や水ばかりかもしれない(><)
ああ、反省反省。
子どもがひたむきに頑張る姿・・・親にとって、こんな嬉しい事はない。
腐らず続ける事・・・結果はいつか必ず付いてくる!
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
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