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絵本のおかあさん ehonkasan.exblog.jp

子どもたちが通った幼稚園で、絵本の読み語りボランティアのお母さんは、『絵本のお母さん』と呼ばれています


by yomuyomuehon
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冬の本★虎落笛(もがりぶえ)

一昨日、昨日と実家の大掃除をしました。

二日では到底終わらないのですが、外はどうにか我慢の範囲か!?

前の庭の植栽の中、東脇の草地、表通り(全く車の通らない通りなんですが)に出るまでの50m程の植栽、西側の大きな鳥居のある稲荷様の周りを、二日掛けて掃いたり草を取ったり、木を伐ったり・・・

お陰で腕は腱鞘炎気味です(^^;)

たいちは、刈り取った植栽を、掃いたり、一輪車で運んだりして手伝ってくれましたが、そうたはhaneちゃんの面倒を見るのが仕事とか何とか言って、こちらの期待ほど働いてはくれず・・・

こうして毎年実家の大掃除をする事は、育ててくれた家と親への感謝の気持ち。

父が亡くなるまで、家族7人で暮らしていた実家は、商売をしていた事もあり、常に人や車の出入りのある、賑やかな家でした。

その家に、今は母一人。

一人で切り盛りするには大き過ぎる家なのですが、こうして掃除をしていると、子供の頃の色んな思い出が蘇ってきて、残しておきたい実家です。

カブトムシやクワガタが一度に10匹も見つかる樫の木。

夏休み、木から登って上がった、納屋の屋根の上で食べたアイスの味。

スポ小でソフトボールをしていた三姉妹は、キャッチボールやバッティングをし、家のガラスを割って、よく祖父に叱られました。

前の庭はコンクリートの場所も広く、そこでよくバトミントンもしました。

石蹴りも、ドッヂボールも・・・

家を新築した時には、棟上式で、上から御餅を投げました。相当な人数がいたなあ。

BBQもよくやりました。

人を呼ぶのが好きな父と母は、よく友達を招いていました。

学生時代、家に帰ると、30人以上の人たちが居て、酔っ払ったおじさん達に捕まって、お説教されたものです。

・・・・・・

今は静かです。

でも、今でも変わらないもの・・・それは虎落笛

風が強くなるこの時期から、西の垣根を揺さぶる、ざわざわざわざわ―――

風の強さに、納屋のトタンが外れ、そのトタンが打ち付けられる度、バタッ、ガタッ、バーンバン

子供の頃は、その音に震えていました。

まさにその時の心境を表しているのがこの絵本です。


虎落笛(もがりぶえ)って何?

絵が朝鮮ぽくない?

図書館で目にする度、ずーっと向こうの国の話だと思っていました。

興味も持てず、目にしながらも手に取る事に無かった絵本です。

それが、うちの歳時記カレンダーの今月12月のページに『虎落笛』という季語を見つけ、やっと意味が分かりました。

『虎落笛』とは、冬の強い風が柵や竹垣・電線などに吹きつけて発する笛のような音の事。

私が実家でよく耳にしていたあの音、あれが虎落笛だったんだ!



読んであげるなら 5、6 歳~

(本文の書き出しは、こんな感じ・・・)

その日は、風の強い日でした。

空は、たかい風のせいで、くもをすっかりはきとばされてしまって、ただガランとあおくひろがっていました。

カチカチにこおったみちを、子どもがひとり、大きな四かくい凧をかかえて、あるいていきました。

その子は、はやく原っぱにゆきついて、あたらしい凧をあげたくて、いま、いっしょうけんめい、風の中をあるいているのです。

原っぱに着くと、ススキやかれた雑草たちは、強い風のなすがまま、なぎ倒されています。

しばらく草の海の荒れ狂った様子を見ていたその子は、じき、ずんずん草の海に踏み入っていきました。



 * * * * *

(以下、あらすじです)

ふと、耳を澄ますと・・・

・・・・の、・・・・あ、・・・・いぞう。

風の音に混じって、声が聞こえてきます。

何を言っているのか分かりません。

きょうの虎ぁ でぇかいぞう。

前より大きな声が、どこからか聞こえてきました。

その子は気味が悪くなって、辺りを見回しました。

この先は竹林です。

きょうの虎ぁ でぇかいぞう

でぇかい虎の 皮ぁ

ひぃろいぞう、ひぃろいぞう


まるで、誰かが隠れているように、枯れた草の波がザワッと揺れました。

追えよ虎、虎追え 追いだせ、

はげよ皮。

追えよ虎、虎追え 追いだせ、

はげよ皮、はげよ皮。


すっかり恐ろしくなった子どもはどっちに逃げたものかと、辺りを見回しました。

その時です。

強い風が吹いて、すぐ側で声がしました。

きょうは、おまえが笛をふけ。

おまえが笛をふけ。


「ぼく、笛なんかふけないよ」

風はいよいよ子どもの背中を押し捲ります。

虎追う笛は、虎狩り笛、

追えよ大虎、追いだせよ。

ふけよ竹笛、虎落笛。

笛をふかないのなら、おまえの凧をこわすぞ。

凧をこわせ、凧をこわせ。


その子は、しっかりと凧を抱え込みました。

泣きたいのを我慢して、原っぱの中からカゼクサを一本折り取りました。

思いっきり息を吹き込むと、くさ笛は細い音を立てました。

虎落笛が鳴った、

虎を追いだせ。


竹林の中から何かが草の中に飛び込んだようです。

ザザザ、ザザザと、草を分けて、それは原っぱの中を走り出しました。

きょうの虎ぁ でぇかいぞう、

でぇかい皮はがせ、

ひろい皮はがせ。

黄じま、黒じま、虎の皮

虎の皮で なに作る・・・

なに作る。


子どもは、今にも虎が自分を食いに来はしないかと、目を閉じて、ガタガタ震えておりました。

そうやっていると、虎が走り回っているらしい、草のザワザワと騒ぐ音が余計にはっきり聞こえます。

ザワザワザザッザ、

ザワザワザザッザ

ザーイザーイザイ、

ザーイザーイザイ


虎は赤い炎の下を吐き、風にたなびく草の波を切り裂き、一直線に走るのでしょう。

その後をまた、虎狩の兵士たちが、槍を構えて素早い速さでどこまでも追っていくのです。

子どもはとうとう我慢出来ずに、ワァーワァーと声を上げて、泣き出しました。

泣いて泣いて、終いには声が嗄れて・・・

* * * * *

「虎落」とは、中国では、虎を防ぐ柵のことのようです。

戦などの時、先端を斜めに削いだ竹を筋違いに組み合せ、縄で繁く結い固めて柵としたものも「虎落」と呼ぶそうです。

そういった意味から生まれたらしいこのお話。

もちろん、虎が実際に出て来たのではなく、そんな風にこの子の耳には聞こえたわけですね。

風の歌を風が強く吹くように読んであげると、臨場感が増します。

子ども達はビクビクし通し(^^)

冷たく怖い冬の風に付いた『虎落笛』という素敵な季語。

日本語の言葉の広さ、美しさに改めて感激しました。

* * * * *

昨日も一昨日も、『虎落笛』が聞こえる程、風は強くありませんでしたが、さっぶい!!!

南西に、はるか遠い富士山は、雪を被った美しい姿を見せてくれました。

北西に見えるはずの日光の山々は、雪を降らせているのであろう雲の中。

西の地平線近くがオレンジ色に染まっている頃、てっぺんのお月さんとお星様は白く美しく輝いていまいました。

寒いけれど、少し(少しじゃないか!?)寒さを我慢すれば、とっても美しい景色を目にする事が出来ます。

家の中だけで暖まってばかりでは、見ることは出来ませんよ(^^)


そうだ、今年は実家で久し振りに凧上げをし~ようっと!



最後まで読んでくださって、ありがとうございます。



 * * * * *


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by yomuyomuehon | 2011-12-29 07:12 | 冬の本