ケンケンとムンムン
読んであげるなら 6、7 歳~
(本文の書き出しは、こんな感じ・・・)
その1 ケンケンとムンムン
海をずっと南へいったところに、それも頭のずぐうえに太陽がてるほどの南の海に、小さな島がありました。
その島は、人間がほんのちょっぴりすんでいる、とてもしずかな島なのですが、よく目をこらしてみると葉っぱのような小さな妖精たちが、あっちこっちにとびまわっているのがみえることでしょう。
ケンケンとムンムンは、この島にすむ双子の妖精です。
お父さんのなまえは、ケンムンといいます。
ケンムンは、まいにち太陽を東の海からひっぱりだして、夕方には西の海にしずめます。太陽は、島の草や木にたっぷりと光をそそぐので、島は緑でいっぱいになって海のなかにうかびあがるのです。
お母さんのなまえは、ミンミンです。
* * * * *
(以下、あらすじです)
ミンミンの仕事は、月を呼ぶこと。
泉の水をわきださせるものや、風をおこして雲をはこぶもの、皆何かしらの仕事をしているのです。
でも、まだ子どもの妖精のケンケンとムンムンに、仕事はありません。
お父さんのように太陽を動かしたい!
それが出来たらお父さんも驚いて、仕事をくれるかもしれない!
そう考えたケンケンとムンムンは、ある朝ケンムンが起きる前に、島の東の海岸へやって来ました。
ケンケンが太陽をひっぱり出そうと両手を伸ばし、太陽を掴み、持ち上げようとしましたが、思ったよりも重くてびくともしません。
ムンムンも手伝って、もう少しという所で、太陽の熱さに手を離してしまい、太陽は海深く潜ってしまいました。
「おまえたち、なにをしているのだ」
振り向くと、そこにはケンムンが立っていました。
ケンムンに怒られたケンケンとムンムン。
仕事をしたいと言う気持ちが、益々強くなったのでした。
(その2)ケンケンとムンムンの仕事
年をとった妖精の磯じいの計らいで、仕事を与えられたケンケンとムンムン。
それは年老いた磯じいに代わって、海を呼んだり押し戻したりする仕事です。
磯じいはケンムンとの約束により、ケンムンの力でカニに姿を変えてしまいました。
いつの日か、磯じいの仕事を継ぐ者が現れた時に、以前よりなりたいと思っていたカニに姿を変える事、それがケンムンを磯じいの約束だったのです。
(その3)ケンケンとムンムンの失敗
晴れて、海をあやつる仕事を手にしたケンケンとムンムンでしたが、まだ子ども。
遊びたい盛りです。
ある日、森でチョウチョを追いかけ、すっかり仕事を忘れてしまった二人。
海は砂浜を覆い、森の木々にまで波がかかる程になっていました。
海は大喜びでジャブジャブし、森の中の小さな生き物達は大騒ぎで逃げ惑い、妖精たちも慌てて飛び回り、島中大騒ぎ。
「海よ、もどれもどれ」
ムンムンは慌てて言いますが、すっかり調子に乗った海は聞きません。
そこへカニになった磯じいがやってきました。
「弱音をはいてはいかん。いまいちど、心のそこからさけび、かたるのじゃ。海と心をひとつにせよ」
暫くして海は落ち着き、沖へ戻っていきました。
島には静けさが戻ってきました。
この事件はケンケンとムンムンを成長させたのでした。
島の妖精たちに説明に廻ったケンムンは、その後も心配で二人こっそり見張っていました。
ある日、ぎりぎりまで遊んで磯へ戻ろうとしていたケンケンとムンムン。
既に磯に隠れてみていたケンムンは心配でなりません。
とうとうケンムンは磯に立って、海に「沖にもどれ」と叫びましたが、まだ引き潮の時間でなかったので、不満な海は言う事を聞きません。
もっと強く言ったケンムンに、海はふくれて波を掛けました。
その様子を見ていた磯じいは、
「おまん、ふたりのことが心配できおったな。なあに、心配せんでもちゃんとくる」
「そうはいっても磯じいよ、仕事はじかんどおりにやらねばいかんのだ」
「ケンムン、いそぐな。まだそのじかんではないのだ、ほらふたりがもどってきたぞ」
ケンケンとムンムンは磯じいとケンムンに気付き、不思議そうな顔をしました。
ムンムンが海にもどれと言うと、したがった海。
その様子をじっと見ていたケンムンは、二人の頭を黙って撫でたのでした。
「お父さん、お母さんが月をだしたよ。太陽はしまわないでいいの」
「おおいかん、太陽をしずめるじかんがきていた」
ケンムンは慌てて西へ飛んでいったのでした。
(その4)ケンケンとムンムンの妹
ミユミユという名の妹が生まれました。
ミユミユは、手に触れるもの全てに、花を咲かしてしまうという、不思議な妖精です。
ある日、ミユミユのお守りを頼まれたケンケンとムンムン。
・・・ですが、お昼寝をしている間に、ユミユミが行方不明になってしまい・・・
(その5)ケンケンとムンムンの雪だるま
いつもは暑い島に、ひんやりとした風が吹いてきて、北へ行っていた兄さんのケンミンが帰ってきました。
雪を降らせること、それがケンミンの仕事です。
雪を見たいというケンケンとムンムン。
ですがここは南の島。
雪が降っては困ります。
そこでケンミンは・・・
* * * * *
ケンムンとは、奄美地方に伝わる妖精のことのようです。
田島さんが奄美を取材して、あらかた出来上がったお話を、甥の南部さんが素敵なお話に仕上げてくださったのだそうです。
ちょっと悪戯好きで、ガジュマルの木に住む、子供の妖精ケンムン。
沖縄地方のキジムナーに似ている感じでしょうか?
その、伝えられるケンムンとはちょっと違う感じもしますが、こちらは素敵なファンタジーです。
童話になるので、未就学児では長いかもしれませんね。
でも、そうたに読み聞かせていた側で、聞いていたのかいないのか、落ち着きなかったたいち(3歳)ですが、昨晩も「これよんで~!」と持って来たのは、そのたいちの方でした。
全てのページに、田島さんのイメージする妖精の、カラーイラスト。
だから字が多くて140ページにもなるのですが、飽きさせないのかも!?
勿論お話も魅力的で、あったかです♪
そして、あれやりたい!これやりたい!と、大人の仕事に興味を持ち始め、台所で手伝ってくれる!?(荒らしてくれる!?)年齢のたいちには、ぐっと来るものがあるのかもしれません。
* * * * *
子どもに任せたら、ある程度の失敗には目を瞑り、言いたい気持ちもぐっと堪え・・・
ああ、そうしなくちゃね~!って、読んでいるこちらにも訴えるものがあります。
そうそう、大人だって子どもだって失敗から学ぶのよね!
どこか教育的内容ではありますが・・・そんな事は感じさせないファンタジー。
田島さんのほんわかした絵が良いのかな?
触れるもの全てに花を咲かしてしまう、素敵な妹ミユミユ。
どんな怖い虫も動物も、ミユミユの手に掛かれば、み~んなお友達♪
ミユミユと手を繋ぐと、とっても楽しい気分になるんですって!
大きな存在であるお父さんのケンムン。
静かで、包み込むような優しさのお母さんのミンミン。
外の世界へ出て、大きくなって帰って来た、お兄さんのケンミン。
素敵な家族の物語です♪
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
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