あたごの浦
Amazonおすすめ度:

読んであげるなら 4、5歳~
(本文の書き出しは、こんな感じ・・・)
前はとんとんあったんやと。
ある、お月さんのきれいな晩のことや。
あたごの浦に、波がざざーっと、よせてはかえし、よせてはかえし、
砂浜は、明るいお月さんに照らされて、キラキラ、キラキラと、光っりょったんやと。
そしたらそこへ、おーけなおたこが、お月さんの光にうかれて、ゆらーり、ゆらーりと浮いてきて、
砂浜へあがったんやと。

* * * * *
(以下、あらすじです)
蛸は砂浜で、なすびをムシャムシャ。
ほんまに月のきれいな夜だったので、鯛も砂浜に上がって来て、こう言った。
「今晩は、お月さんがきれいなけん、ひとつ、魚どもを集めて、演芸会でもせんか」
その呼びかけに、沖のあちこちから色々のお魚が集まってきて、賑やかな演芸会が始まった。

暫くして、それはかくし芸大会に!
まずは鯛さんから。
鯛は松の木にするするっと登って、松の枝にぴたっとはりついてから、
「松にお日さん、これどうじゃ」

明るいお月さんの光に赤いうろこがキラキラして、ほんまに日の出と間違うくらい。
これには皆感心して、「妙々々々々々」と、はやしたてた。
その後もかくし芸大会は、フグ・お蛸・かれいと続く・・・・
* * * * *
「このお話は、讃岐、今の香川県の高松出身の私(脇和子さん)の家で語り継がれた昔ばなし。
曽祖母から祖母へ、母へ、私へと、代々語りつがれてきたもの。(素敵ですね!)
しかし、近隣の方にこの話を聞いても、知らないと言うばかり・・・。
ただ、ひとつ、『高松今昔記』という本に、「掘だめの怪談」と題して、このお話と関係の深そうな言い伝えがあります。
堀だめというのは、高松の港近くの海辺で、「あたごの浦」の舞台である愛宕神社の裏の浜のすぐ隣り。
そこにあった畑の野菜がしきりに盗まれるので、ある人が月夜に見張っていたところ、大だこが海からあがってきて、なすびやかぼちゃをムシャムシャと食べはじめたとか。
もっとも、その人はそれを見て、冷水を浴びせられたように思ったという怪談話。
やがて楽しい演奏会がはじまるとは夢にも知らなかったようですから、魚たちが「妙々々々々々」とはやしたてるのを耳にしたのは、また別の人だったのでしょう。・・・」
・・・・と「あたごの浦」の折り込みふろく、絵本のたのしみに脇明子さんは記していらっしゃいます。
ところで、蛸が畑に上がってきて、野菜を食べると言う伝説は、各地に残されているようです。
本当~?ってな感じですが・・・
三重県鳥羽市にある「畔蛸町」(あだこちょう)では、サツマイモを食べてたとか・・・
その辺りに関して、以下のような記述を見つけました。
「昔は、今のような防波堤もなく、大潮の時には民家や畑の近くまで波が寄せていたものだった。
満潮時、浅瀬にやってきたタコは波打ち際にいるカニを追いかけるうち、空気中にまで出てしまったのではないか。
それがたまたま畑のあたりだったので、転じてタコがサツマイモを掘って食っていたとなったのではないか…」
満月や新月の夜に産卵の為、川や山から海へ移動し、水中に卵を放出すると言われるカニが、その辺りには多く生息しているようで、なるほど~!って感じです。
「あたごの浦」でも満月の夜が舞台ですものね。
それに一枚目のイラストを見ると、浜にはカニが沢山居るのが分かります。
* * * * *
魚達のかくし芸大会。
小さな子供にそのニュアンスが伝わるかどうか、難しいところですが・・・・
鯛の芸の後の、「妙々々々々々」って所で、「ん?」って顔して、続いたフグの後の「妙々々々々々」って所で、ニヤッ。その後の蛸でぐふふっ!と、「妙々々々々々」に反応する息子です。
ところで、この「妙々々々々々」ってのは「ええぞ!ええぞ!」ってな感じでしょうか。
まあ「松にお日さん、これどうじゃ」って言われても、笑えないよなあ・・・
ましてやお蛸の○○・・・子供に分からないよなあ・・・
でも、昔ばなし特有の、地方語のアクセントも楽しく、大道あやさんのとってもマッチした絵といい、何だか引かれてしまう一冊です。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
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