子どもの気持ちを知る☆「木はえらい」
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小学中学年以上向け
「なんで学校に行かなきゃならないの」で大人をからかい、「ぼくは末っ子なので」で末っ子だからって馬鹿にするなと反発し、「ボーイフレンド」で彼女の一言にドキッとし、「オヤジを探す」で自分が怒られていたはずなのに、気付いたら家から居なくなっていた父親を心配し・・・
子どもの心の中、頭の中はぐるぐるぐるぐる忙しい。
まさに詩の中の出てきたフレーズ「考えると頭がこんがらがっちゃうんだよ」だ。
この本に取り上げられているのは、イギリスの子ども達に圧倒的支持を得てきた「悪がきの詩」という、子ども達の本音の世界を、子ども達の日常の言葉でそのままうたった詩の数々。
といっても、子どもが作ったものではありません。
マイケル・ローゼンを始めとした6人の詩人によるものです。
でも、とっても子どもの気持ちを代弁していると言うか、子どもの気持ちそのもの。
それを谷川俊太郎さんと川崎洋さんが訳しています。
6人の詩人の一人、ロジャー・マッガウは「韻の踏み方も知らない詩」は好きではないと言っているそう。
訳詩ではそのまま写す事は難しいので、その辺りは訳者さんのものになってしまいますが、それでも、良いです。
その中で私が・・・(子どもじゃないけど(^^;))・・・この詩いい!って思ったのは、
「ボーイフレンド」マイケル・ロ-ゼン
「弟は頭痛の種」ブライアン・パテン
「オヤジを探す」ブライアン・パテン
大人にとって、親にとって、ああ、耳が痛いと思うものも多くあります。
「子どものいいぶん」スパイク・ミリガン
母として嬉しくなる詩もあります。
「ぎゅっと」 ブライアン・パティン 谷川俊太郎・訳
ぼくらはバナナをぎゅっとつぶすのが好き
うれたプラムをぎゅっとつぶすのも好き
そんで悲しそうなときのかあさんをぎゅっと
つぶれるくらい抱いてあげるのも大好きなのさ
ねっ!素敵でしょ(^^)
ところで、今回紹介した岩波少年文庫の「木はえらい」は1997年発行のもので、新版も出ています。
巻末の「岩波少年文庫発刊に際して」は1950年に書かれたもので、2000年に刷新された新版では「岩波少年文庫創刊50年―― 新版の発足に際して」に変わっています。
この1950年にかかれたものが素晴らしい!震えが来ちゃいます。
いかに志高く、熱い熱い思いで、少年文庫を発刊したか、伝わってきますよね(^^)「一物も残さず焼きはらわれた街に、草が萌え出し、いためつけられた街路樹からも、若々しい枝が空に向かって伸びていった。戦後、いたるところに見た草木の、あのめざましい姿は、私たちに、いま何を大切にし、何に期待すべきかを教える。未曾有の崩壊を経て、まだ立ちなおらない今日の日本に、少年期を過ごしつつある人々こそ、私たちの社会にとって、正にあのみずみずしい草の葉であり、若々しい枝なのである。
この文庫は、日本のこの新しい萌芽に対する深い期待から生まれた。この萌芽に明るい陽光をさし入れ、豊かな水分を培うことが、この文庫の目的である。幸いに世界文学の宝庫には、少年たちへの温い愛情をモティーフとして生まれ、歳月を経てその価値を減ぜず、国境を越えて人に訴える、すぐれた作品が数多く収められ、また名だたる巨匠の作品で、少年たちにも理解し得る一面を備えたものも、けっして乏しくはない。私たちは、この宝庫をさぐって、かかる名作を逐次、美しい日本語に移して、彼らに贈りたいと思う。
もとより海外児童文学の名作の、わが国における紹介は、グリム、アンデルセンの作品をはじめとして、すでにおびただしい数にのぼっている。しかも、少数の例外的な出版者、翻訳者の良心的な試みを除けば、およそ出版部門のなかで、この部門ほど杜撰な翻訳が看過され、ほしいままの改刪が横行している部門はない。私たちがこの文庫の発足を決心したのも、一つには、多年にわたるこの弊害を除き、名作にふさわしい定訳を、日本に作ることの必要を痛感したからである。翻訳は、あくまで原作の真の姿を伝えることを期すると共に、訳文は平明、どこまでも少年諸君に親しみ深いものとするつもりである。
この試みが成功するためには、粗悪な読書の害が、粗悪な感触の害に劣らないことを知る、世の心ある両親と真摯な教育者との、広範なご支持を得なければならない。私たちは、その要望にそうため、内容にも装釘にもできる限りの努力を注ぐと共に、価格も事情の許す限り低廉にしてゆく方針である。私たちの努力が、多少とも所期の成果をあげ、この文庫が都市はもちろん、農村の隅々にまで普及する日が来るならば、それは、ただ私たちだけの喜びではないであろう。(一九五〇年)」
本当に子どもの為の本を出版しているのは、岩波書店と福音館書店だとある方に伺いました。
大人の目線で読んでいると良いなと思う本でも、それは果たして子どもに向けて書かれているものか、そこを考えると疑問を持たざるを得ない本も少なくありません。
この名文は吉野源三郎さんの作。
自分が子どもの頃、そして若かりし頃、いい本に出会ってこなかった事を、今更ながら反省しています。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
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