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絵本のおかあさん ehonkasan.exblog.jp

子どもたちが通った幼稚園で、絵本の読み語りボランティアのお母さんは、『絵本のお母さん』と呼ばれています


by yomuyomuehon
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星野道夫の旅

押してくれると、うれしいな(^^V)


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taichi9歳の誕生日だった昨日。

月島に用事のあった息子たちとパパとは別行動で、

haneちゃんと私は、久々に銀座の教文館ナルニア国へ。

「ママこれよんで!」と度々haneちゃんに呼ばれ、本を読んであげつつ、店内を隅から隅までチェック。

そして、またもや大量に買い込んでしまいました(^^;)

家の書棚からは本があふれ、床に山積みです。。。。

ああ、早く書棚を新調しないとね(^^;)


さて、金曜日、早稲田のいんやんくらぶの料理教室に行った帰り途、快速電車に乗った事を忘れ、感動で時折目を潤ませながらを読みふけっていたこの本↓

旅をする木 (文春文庫)

星野 道夫/文藝春秋

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ふと車窓に目をやると、見なれぬ景色が広がっていて・・・あちゃーやってしまった(><)

快速だったので、自宅のある駅に止まらず、二つ先まで行ってしまいました。

そして上り電車を待つも、こちらも快速待ちで、なかなか出発出来ず、先に帰るはずだったのに、修学旅行から帰って来たsohtaに、「お帰り!」と言われてしまいました。


なぜ学生時代に星野道夫の世界に行かなかったのか、不思議。


大学4年の時、ダイビングをしに週に3日は海に向かっていた私。

「えらが出来ちゃうんじゃないですかぁ?」な~んて、よく後輩に言われたものです。

その頃読みふけっていたら、一時迷ったダイビング雑誌への就職を決めていたかもしれない。

リゾートダイバーとは違い、「潜り」と呼んでいた自分たちのスタイルではありますが、星野さんの世界に比べたら、まあ大分甘あまですけれど・・・・


慶良間では、
暗くなったと思って見上げると、頭上を通過するザトウクジラの大きな腹、マスクを飛ばされそうな程激しい潮の流れの中で見事に咲いていたソフトコーラルのお花畑、さんご礁の上をひたすら流れに身を任せて浮遊した事。

パラオでは、プランクトンいっぱいの味噌汁のような見通しの悪い、流れの激しい岩場に掴まるそばを
ぐるぐる廻る何枚ものマンタ、ナポレオンフィッシュが悠然と泳ぎ、ギンガメアジが渦を巻く中をくぐったブルーホール、夕焼けの船の上から見たイルカの群れ。

飛行機を乗り継ぎ、ジープに乗り、小さなボートで風を切りと、行くのに二日を費やしたシパダンの海で見た渦を巻くバラクーダ、夜中にレンジャーに
連れて行ってもらったウミガメの産卵、黒い空と光る星の配分が同じくらいの360度満天の星空に包まれた夜、島を飲み込むんじゃないかと思うほどの夜中の激しい波音。

小笠原では、浮上する途中で足元を悠々と泳いで行ったキハダマグロ、鮫が周りをうろうろする中潜ったナイトダイビング、三時間かけて向かったマグロ岩で見た軍艦のようなマグロの群れ、船首を、船の流れに乗って一緒に泳ぐイルカたち。

それが目的だったのに、十本潜ってやっと見れた与那国のハンマーヘッドシャーク。

急に荒れ始めた海で、波の間に叩きつけられるように船が弄ばれ、必死に捕まって戻って来た時もあったけれど、水の中に居ることを忘れるような高い透明度の静かな海でもあった西表島。

ザトウクジラを追いかけた後の早朝ダイブから上がった海面で揺れながら見た、マウイ島ハレアカラ山に掛かる虹。

朝イチで行かなくちゃ隠れちゃうと3時頃に家を出て、6時に潜って見た大瀬崎のネジリンボウなど死滅回遊魚の数々。

その他本当にたくさんの景色が、私を作り支えている柱の1本なのかもしれない。

「子どものころに見た景色がずっと心の中に残ることがある。いつか大人になり、さまざまな人生の岐路に立った時、人の言葉ではなく、いつか見た風景に励まされたり勇気を与えされたりすることがきっとあるような気がする」―(ルース氷河)より―

更に、子どもの頃に見た、心の中に残っている景色といえば、

田舎育ちの私が見ていた、中学校から自転車で帰る途、秋の
赤紫から紫に変わる西の空ともみが燃える匂い。

夏の夜、家の前の田んぼの上を飛び交っていた蛍の光の跡。

友達とお菓子を作ってはピクニックをしたれんげ畑のピンクと、隣のハウスから漂ってくる甘いイチゴの香り。


う~ん、考えてみたら、うちの子ども達に比べ、なんて豊かな時を過ごしていたのかしら?

年頃になると、それをイヤだと思っていたけれど、無機質な中で暮らす事よりも良かったのかもしれない。


この本は、ちっちゃな事をぐちぐち言う野暮な母親になっている自分を、なんだか少しスッキリさせてくれた気がします。

で、昨日、思い立って(う~ん、いつも私は思いつき(^^;) )・・・行ってきました。なんたって、taichiの誕生日!でしたからね。

プレゼントした↓

悠久の時を旅する

星野 道夫/クレヴィス

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は、少し大人びていたようで(^^;)、もう少ししたらじっくり見たく、読みたくなるだろうね。

「次の夏休みに自転車で〇〇川をずーっと探検してみたいんだけど、どこまで行けるかなあ」と言うtaichi。

海まで出たとしても、日帰りは無理だよね。それまでに寝袋とかも用意してあげなくちゃね(^^)


写真展は込んでいて、チケット売り場で並んでいたところ、見知らぬおばあちゃまが、

「私は一枚あればいいの。これを使って」と、

なんと招待券を頂いちゃったのです!

小学生以下は無料だったのですが、5人家族だから大出費と思ってくださったのか?sohtaが小学生に見えなかったからか?

なんて、ラッキーなのかしら~♪

写真展で見る大きな写真は、図録や写真集と違ってすごい迫力なんですが、
星野道夫さんの人柄が伝わってくる写真で、どれも優しいのです。

そしてあまりの美しさに、うう、泣けてくる(><)

手入れをしたかのように
美しい動物の毛並み。

アラスカ野生生物局のつわもの5人と雪の深い4月に、まだ冬眠中のブラックベアの発信機を取り替えに行った時の事が、「早春」に綴られているのですが、その中で星野さんも書いています。

「ぼくは、クマのそばに腰をおろし、ごわごわとした体毛を撫でながら、その一本一本の毛の感触を確かめていた。手入れをしたような汚れのなさに、人間の想像とは裏腹の、野生に生きるもののかぐわしざを感じていた。」


全国(?)を廻った回顧展も、あと一週間で終わり。

これは絶対に見た方がいいです。

若い人ほどね(^^)

私は行けそうに無いのですが、こちら↓も魅力的!


子ども達に伝えたいのは、星野さんの行動力でもあり、昨夜は息子達に「アラスカとの出会い」を読みました。

慶応大学生19歳の時に、神田の古本屋で出会ったアラスカの写真集の中の一枚、ナショナル・ジオグラフィックのフォトグラファー、ジョージ・モーブリーが撮った写真。

それはエスキモーの村でした。

そして、そこの村長宛に送った手紙

「あなたの村の写真を見ました。たずねてみたいと思っています。何でもしますので、誰かぼくを世話してくれる人はいないでしょうか・・・・」


その手紙も会場にありました。

その返事もありました。

「手紙を受け取りました。あなたが家に来ること、妻と相談しました・・・・夏はトナカイ狩りの季節です。人手も必要です。・・・・いつでも来なさい・・・・」

星野さんはこの人生を変えるきっかけとなった写真を撮ったジョージと7年を経て会うことが出来ました。

「人生はからくりに満ちている。日々の暮らしの中で、無数の人々とすれ違いながら、私たちは出会う事がない。その根源的な悲しみは、言いかえれば、人と人が出会う限りない不思議さに通じている。」

星野さんは偉大なる写真家ですが、稀有な文筆家でもあります。

その言葉の一つ一つが温かく胸に響きます。

思わず書き留めておきたい言葉が彼の作品にはあふれています。

巻末で、池澤夏樹さんが解説しているのですが、

「書物に出来る事はいろいろあるが、結局のところ、最高の機能は幸福感を与えることだ。
世の中にはこうすれば幸福になれると説く本はたくさんあっても、そう書いている人たちがみな幸福とは限らない。しかし、「旅をする木」は行く先々で星野さんがどう満ち足りた日を過ごしたかという報告しか書いてない。・・・・この本に書かれたように幸福な時間を過ごした者をぼくは他に知らない。」


そうなんです。この本を読んでいると、星野さんの幸福感が伝わってくるのです。

だから私はこんなにもこの本に魅了されたんだと思うのです。


さて、写真展には興奮していた息子達が、会場から出るや否や、こち亀を読み始めたのには呆れるばかりですが、いつかしっかり向き合える日が来ることを願う母です。

haneちゃんは、隣会場で開催中の大北海道展で、ソフトクリームを食べたいと暫く喚いておりましたが、ホッキョクグマの子どもが仰向けで寝そべる姿に、「ねえ、ねえ、これ、haneちゃんがあかちゃんの時みたい」・・・「えーっ(^^;)」と、その写真を暫く眺めていました。


小学生以下には、こちらがオススメです。

クマよ (たくさんのふしぎ傑作集)

星野 道夫/福音館書店

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アラスカたんけん記 (たくさんのふしぎ傑作集)

星野 道夫/福音館書店

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ナヌークの贈りもの

星野 道夫/小学館

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こちら↓は6年生の国語に載ってしています。

森へ (たくさんのふしぎ傑作集)

星野 道夫/福音館書店

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by yomuyomuehon | 2016-10-24 15:12 | 思わずうるっと来ちゃう本