龍の子太郎
お正月休みに、書店でこの絵本「たつのこたろう」を見かけ、帯の『龍の子太郎、誕生から50年! 国際アンデルセン賞優良賞に輝き、100万人の子どもたちが読んだ、日本でいちばん賢く逞しい太郎の物語』に惹かれ、朝倉摂さんの美しい絵にも魅了され、即買い。
・・・・が、しっくり来なくて、長編童話の「龍の子太郎」を読んでみました。
田代さんと朝倉さんの描く龍の子太郎の顔つきは、全く異なります。
長編童話「龍の子太郎」には、田代さんの描く龍の子太郎がぴったりかも!?
「龍の子太郎」は、そもそも劇団太郎座の脚本として生まれたもの。
太郎座とは、松谷さんのご主人の瀬川拓男さんと旗揚げした劇団です。
結婚後、日本各地に民話探訪の旅に出た松谷さん。
それぞれの土地に生きる人々の喜びや悲しみが込められている民話の数々に、東京生まれの松谷さんは甚く感動したそうです。
その中でもっとも心惹かれたものが、信州に伝わる小泉小太郎伝説。
それが、この龍の子太郎の素になりました。
龍の子太郎のお話には、どこかで聞いた事のある!?民話が多く散りばめられていて、色んなお話をくっつけて作られたという印象の(^^;)、創作民話です。
脚本ですから、舞台を面白く!という意図もあったのでしょうね。
色々出てきます。
話の筋が一本でなく、私にはあっちに飛んだり、こっちに飛んだり・・・折れ線的に感じちゃうのですが、舞台用だからですね、きっと。
読んであげるなら 5、6歳~
(以下、あらすじです)
龍の子太郎は、おばあさんと二人で暮らしています。
おばあさんは具合が良くないにも係わらず、母の無い太郎が不憫で、無理をして仕事をしています。
龍の子太郎は、毎日山で動物たちと遊んでばかりいる怠け者。
太郎が遊んでいると、笛を吹く女の子あやに出会い、二人は仲良くなって山で遊ぶ日が続きました。
ある日太郎が家に帰ると、おばあさんが倒れていました。
おばあさんは言っておかなければならない事があると、太郎に出生の秘密を教えてくれました。
太郎の母親は、身重の体で山の仕事に行き、龍になってしまった事。
沼で太郎を産み、おばあさんが預かった事。
今もどこかの沼で生きている事。
その時、あやが赤鬼にさらわれたと、あやのおじいさんが飛び込んできました。
それを聞いて、あやを助けに行く!と立ち上がった太郎。
あやを助けた足で、お母さんを探しに行くと言って、家を出ました。
話を分けるなら、ここまでが第一部という感じでしょうか。
続いて第二部、あやを助ける旅
旅の途中、てんぐに授けてもらった百人力が、あやをさらった鬼と対決する際に役立ちます。
あやをさらった赤鬼と、赤鬼からあやを奪った黒鬼と、二匹の鬼が登場します。
赤鬼は太郎に負けると、太郎に、その百人力で空の雷様の所に投げ飛ばしてくれと頼みます。
そして赤鬼は雷様になるのです。(後の湖を切り開くシーンでは雷さまとなって登場します)
次に黒鬼を倒した太郎は、麓の人々から巻き上げた金銀財宝やお米を、人々に返し、太郎は初めて米のお握りを食べました。
太郎の住む村は貧しく、お米なんか採れません。
広々した田んぼを見た太郎に、「こんな ひろい とちが あればなあ」と、今まで無かった感情が沸いて来ました。
鬼の岩屋では、一日に百里走る馬も手に入れました。
あやはその馬に乗って、家に帰って行きました。
最終章第三部、お母さんを探す旅
お母さんを探して、北へ北へと、龍の住んでいるような湖を探しに行く太郎。
にわとり長者といわれる強欲ばあさんの沼に、大蛇が住んでいると聞いて、訊ねて行ったところ、ばあさんの下男として働く事に!
太郎は、365人でやっていた田植えから稲刈りまでを一人でやってのけました。
しかし、沼にいたのはお母さんではなく、白い蛇でした。
ただ、蛇はりゅうが住んでいるらしい湖の話を教えてくれました。
その前に、力になってくれるばあさまも紹介してくれました。
暇をもらうと言い出した太郎に、強欲ばあさんは、給料として太郎に背負えるだけの稲を背負って行けと言いました。
・・・が、太郎はなんと全部背負って行ってしまいました。
太郎はその稲の束を、途中出会った米を食べた事の無い山の人々にあげました。
種を採って米つくりをしようと奮起した山の人々。
種にする分だけで良いから、他の山の人にもやってくれと言います。
太郎は胸が熱くなりました。
龍が住んでいる湖一つ干したら、広々とした土地が出来るのに・・・
それを聞いた太郎は、じっとしていられなくなりました。
蛇から聞いた山のばあさまは、太郎に知恵を授けてくれました。
雪が降ってきたから今行くのはやめろと言うばあさまを振り切って、飛び出した太郎。
しかし激しい雪の中で、倒れてしまいまいました。
そこへあやが白い馬に乗って、助けに駆けつけました。
百里走る馬は成長し、千里走る馬になっていました。
その馬に乗って、二人は母の住む湖を目指します。
湖に着き、あやが笛を吹くと集まって来た魚たちに、沼のそこに住む龍に、龍の子太郎が来た事と伝えてもらいました。
やがて現れたのは、目くらの龍。
龍の子太郎は、乳飲み子の頃、龍の目の玉をしゃぶって大きくなっていたのでした。
母が龍になった理由を聞いて、益々村の貧しさを嘆く太郎。
母に、旅の途中見聞きした事を話し、母と共にこの湖を切り開く事にしたのです。
*****
・・・と、200ページに渡る長いお話で、登場人物も多く、話も母を探す旅の一本ではありません。
これを絵本で読むと、切れ切れの印象。
途中で、何故?何故?と沸いてきた疑問が、童話を読んで解決しました(^^)
確かに朝倉摂さんの挿絵は美しい☆
・・・ですが、絵本で興味を持たれた方は是非、童話の方もお読み下さいね。
乳を飲ませる事の出来ない母が、目の玉をしゃぶらせて太郎を育てたなんて・・・涙が出ます。
結核の術後、子供に乳を飲ませながらこの話を書いていた松谷さん。
だからこそ生まれた一節なのでしょか?
壮大な母と子の愛の物語です。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
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