べロ出しチョンマ
読んであげるなら 小学校高学年~
(本文の書き出しは、こんな感じ・・・)
千葉の花和村に「ベロ出しチョンマ」というオモチャがある。
チョンマは長松がなまったもの。このトンマな人形の名前である。
人形は両手をひろげて十の字の形に立っている。
そして背中の輪をひくと眉毛が「ハ」の字に下がってベロッと舌を出す。
見ればだれでも思わず吹き出さずにはいられない。
* * * * *
(以下、あらすじです)
12の長松は、忙しい父ちゃん母ちゃんに代わって、3つの妹ウメの面倒を看ている。
霜焼けが崩れて、膿まで出た手に巻いた布を取ってやる時、ウメは痛くて泣く。
ある時、うまいことを見つけた長松。
「ウメ。見ろ。アンちゃんのツラ」
眉毛をカタッと「ハ」の字に下げて、ベロッとベロを出してやった。
それを見たウメは、笑い出さずにいられない。
そこをすかさず、すばやく布を引っ剥がす。
そうしてウメの手に油薬を塗ってやり、新しい布で巻いてやると、ウメは楽になってスヤスヤと眠る。
けれど、長松は眠れない。
家では、父ちゃん・母ちゃん、そして村の衆が集まって、ひそひそ年貢の相談をしているのだ。
度々聞いてるうちに、その内容が分かってきた長松。
ある朝、起きてみたら父ちゃんが居なかった。
父ちゃんは帰って来なかった。
そして何日も経ったある晩、表の戸が蹴落とされ、役人がなだれ込んで来た。
「名主、木本藤五郎妻ふじ、そのほう、夫藤五郎が、おそれおおくも江戸将軍家へじきそに及ぶため、出府せしこと存じおろう!」
「知ってました。覚悟はしてますだ。ご存分に」
長松は刑場で初めて、ハリツケ柱に縛られている父ちゃんを見た。
それから母ちゃん、長松、3つのウメまでも、次々に十字のハリツケ柱に縛られた。
ウメは、「母ちゃーん母ちゃーん」と火がついたように泣き叫んだ。
竹矢来の西の端が、ユッサユッサと揺れ始めた。
村人たちの怒って血走った目や、揺さぶるふしくれだった手が、ハリツケにされた長松の所からよく見えた。
突き役の二人が、まずウメの胸の所で、槍の穂先がぶっちがいに組み合わせ、
ウメが、「ヒーッ!おっかねえーッ!」と叫んだ時・・・・
* * * * *
1967年に出版された「ベロ出しチョンマ」
この本のプロローグ「花さき山」に出てくる山ンばの言葉。
『この山は八郎って言う山男が、八郎潟に沈んで高波を防いで村を守った時に生まれた。
あっちの山は、三コっていう大男が、山火事になったオイダラ山サかぶさって、村や林が燃えるのを防いで焼け死んだときに出来たのだ。
やさしいことをすれば花が咲く。
命をかけてすれば山が生まれる。』
この言葉が、作品全てを語っているように感じます。
それは、『献身的な心』や『自己犠牲の精神』
戦後であった発表当初は、この『自己犠牲の精神』や教示めいた内容に対し、賛否両論あったようです。
しかし作品が生まれてから40年以上経った今、私が(私達が?)この作品に涙する理由は何でしょう?
私達が忘れてしまった、人間の根源的な情念・情愛から生まれる、生への尽きぬエネルギーに感動している他に無いのでは・・・
第17回小学館文学賞を受賞したこの「ベロ出しチョンマ」は、28編からなる創作民話風の童話集。
そして上に紹介した「ベロ出しチョンマ」は、『大きな大きなお話(6編)』の中に収められています。
元々、地元教師や生徒の親向けに書かれたこの童話集。
後に、「八郎」や「三コ」や「花さき山」や「モチモチの木」という作品が、滝平二郎さんの切り絵により、絵本化されることによって、広く知られるようになりました。
「天の笛」「ひばりの矢」も収められています。
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雪がチラつく寒い中、幼稚園で行われた、毎年恒例の亀山歩先生の語り。
外の寒さを忘れ、あつい想いで涙が止まらなくなった「ベロ出しチョンマ」
昨年は、亀山先生の体調不良で、省かれてしまったこのお話を楽しみに出掛けました。
年中さんには、「モチモチの木」と「花さき山」も聞いてもらいたかったけど・・・残念!途中退場でした。
そして亀山先生が親達に熱く語る、日本語を伝える大切さ。
また改めて心に刻んできました。
それは毎月参加している「この本だいすきの会」で、毎回小松崎進先生が仰る事でもあります。
それは親の役目であり、その為には、良い本を、良い日本語で書かれている本を選ぶ事。
それをどうやって選ぶか・・・
本当に難しいですよね~っ!
私もブログを書き始めて1年以上経った今、読み返してみると、
「あらっ、こんな本も紹介しちゃったーっ!」って反省する記事も多くて(泣)
でも最近になって、漸く良い本ってものがすこ~し判ってきたかな~(????)
そして、良い本を朗読する事が大切。
それは決して上手く読むことではなく・・・人に感動を与える読み方をする事だそうです。
それは、先日の講演会で、小林豊さんも言ってたなあ・・・
「本が語り手に渡った時、それは作者のものから、語り手のものになる」って。
亀山先生のように語る事は難しいですが、読み語りの際、ある程度自分の物にして望みたいですよね(^^)
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今日の天気では、たいちを存分に遊ばせてから開場に入る事が出来ませんでした。
なので、主人がお守り役。
主人も楽しみにしていた「ベロ出しチョンマ」の話。
私だけ聞いちゃって、ごめんっ!
来年は、交代しま~す。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
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